青木雄二/横田濱夫 『ゼニで死ぬ奴 生きる奴』 | 読書ジャンキーの本棚

青木雄二/横田濱夫 『ゼニで死ぬ奴 生きる奴』

著者: 青木 雄二, 横田 濱夫
タイトル: ゼニで死ぬ奴、生きる奴

人間の価値も命も金次第。そんなえげつなくもリアルな街金の世界を描いて大ヒットした漫画『ナニワ金融道』の連載が終わって十年近く経とうとしてい.る。

が、この漫画の輝きはいっこうに錆び付きそうにはない。むしろ、マネーゲームという言葉が氾濫している今の状況を観れば、この漫画の先見性がいかに優れていたものかを証明している。

かのホリエモンも、著書の中で、この漫画を金儲けのアイデアの参考にしたと語っているではないか。


青木雄二は、漫画家としてデビューする前は、数知れない転職を繰り返し、自らも会社を経営していた。他人の何倍もの苦労を重ねただけあって、金をめぐる人間の生態を捉える視点は確かなものがある。

そんな青木雄二の対談本の相手は、これまた十年以上前に、「はみ出し銀行マンの勤番日記」という銀行の内幕を綴った暴露本を出版して、当時、在席していた銀行を左遷され、ほどなく作家に転身した横田濱夫である。


漫画では、万事が金次第の世界を描いた青木は、実は筋金入りのマルキスト。

一方の横田は、シニカルに物事を捉える毒舌家だけに、時世や仕事に対する見方が、二人とも全く異なり、いまひとつ議論が噛みあっていないのだが、その噛み合わなさが、かえって二人の強烈なキャラ引き立たせることに成功しており、愉しく読み終えることができた。


なお、横田濱夫は、あとが中で、外見上の体裁だけは、ベンチャー起業家を気取りながら、その実、苦労も挫折も知らない、見栄ばかり気にする甘チャンの起業家もどきが横行していると、最後まで、毒舌を吐いて締めることを忘れていない。

切れ味: 良


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