司馬遼太郎 『風神の門』 | 読書ジャンキーの本棚

司馬遼太郎 『風神の門』

著者: 司馬 遼太郎
タイトル: 風神の門 (上巻)

談で有名な真田十勇士の一人、霧隠才蔵を主人公にした伝奇時代小説。


組織に忠誠を誓い、組織の中に埋没することをよしとしない伊賀忍者、霧隠才蔵。
才蔵は、己の磨き上げた忍びの術のみを信じ、その技術をもって、世間を渡っていく忍者である。
奇しき縁から、徳川家と一触即発にある大阪方の浪人、真田幸村に雇われた才蔵は、甲賀の猿飛佐助とともに、徳川家康の暗殺行に向かう。


見所は、徳川家康の護衛役、風魔獅子王院との対決。
この敵役のキャラが際立っている。
風魔獅子王院は、彼一人で、城一つを攻め落とすという伝説の忍者。
そして、獅子王院配下の風魔一族は、闇夜での火攻めを得意とする忍者集団。
この風魔一族との火遁の術合戦、獅子王院との一騎討ちの攻防戦は、映像的で、見応え十分。


司馬遼太郎は、『梟の城』もそうだったけれど、伝奇的色彩を帯びた初期の頃の作品のほうが面白かったように思う。



切れ味: 可



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