田坂広志 『使える弁証法』
- 田坂 広志
- 使える 弁証法
昨今、ビジネスマンの最強思考ツールとして、ロジカル・シンキングをテーマにした本が、大量に出回っている。
あたかも、この論理的思考能力を身に付ければ、あらゆる問題が解決される万能薬、とでもいうかのような煽りにつられて、飛びつくビジネスマンは多いことだろうが、果たして、その中で、どの位の割合で、実際に論理思考力を身に付けた人がいるのだろうか。
そもそも、こういうブームに批判的な目も向けずに飛びついてしまうメンタリティそのものに問題があるようにも思えるのだが……。
本書もその類のものなのであるが、さすがにロジカル・シンキングでは出遅れになるので、「弁証法」を持ち出してきている。
この世の中には、「弁証法」の法則が働いている。
で、この「弁証法」の法則を知り、現実の問題に適用して考えていけば、あらゆる問題の本質、未来が読めるようになるという。
「弁証法」の法則は、万能薬だと強調している点は、ロジカル・シンキングの売り込みと変わることはない。
まあ、思考ツールの一つとして知っておけば、あるいは何かアイデアに詰まった折にでも、役に立つことがあるかもしれないが。
それにしても、文章の少なさといい、行間の広さといい、質量ともにスカスカの本だという感は否めない。
切れ味: 不可