西川靖二 『韓非子――ビギナーズ・クラシックス中国の古典』
- 西川 靖二
- 韓非子―ビギナーズ・クラシックス中国の古典
徹底した人間性悪説に基づいた法治主義によって、君主は政治をすべきことを説いた古代中国の法家思想。
その代表者が、韓非子である。
かの『君主論』を著したフィレンツェ共和国のマキアヴェッリよりも、実に千七百年以上も前に、それに勝るとも劣らない君主論を説いた人物がいたとは。
さすがは中国四千年(いや五千年か)の歴史の厚みは違います。
で、本書は、その『韓非子』のエッセンスを抄訳した入門書です。
以前、紹介した『老子・荘子 』と同様、この角川文庫のビギナーズ・クラシックスは、どれも、なかなかいい仕上がりになっていると思う。
本書も、大変読みやすく、かつ、著者の説明がよく行き届いている。
声を出しながら読むといいでしょう。
そもそも、日本人の間では、孔孟などの儒教や、老荘思想、そして孫子などといった兵法書に比べると、『韓非子』は、あまり馴染みがないようである。
しかしながら、今後、政治やビジネスその他において、アングロサクソンはもとより、中国とも苛烈な競争が激化していく一方であることは、間違いないのだから、、中国人の基本的な思考・行動形式の中に伝統的に培われているであろう法家思想(マキアヴェリズム)を理解することは、大変重要なことなのではないかと思う。
切れ味: 良
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