林田 慎之助 『漢詩をたのしむ』
- 林田 慎之助
- 漢詩をたのしむ
ある程度、歳を取ってくると、以前には目もくれなかったものに関心が向けられたりする。
私にとっては、漢詩もその一つにあたる。
難解かつ短い文章の中に、それを詠った人の情念が、思いっきり凝縮されている。
で、本書は、漢詩を堪能するための入門書である。
、「志」「愛」「別離」「郷愁」「逆境」等々、人生で遭遇する様々な出来事や感慨をテーマこどに括って、それに該当する中国の名詩を紹介。
同時に、それを詠った詩人の人物像や、創作の背景などを解説していくことで、より深く詩情を味わえるようになっている。
小難しいことは一切書かれていない。
詩そのものの魅力を発見し、味わい尽くすには最適の一冊だと思う。
以下、本書の中から一首、特にお気に入りの漢詩の書き下し文を引用。
唐の詩人、杜牧が、古代中国の英雄、楚の項羽が、漢の劉邦に敗れて、鳥江亭のほとりで討死するのを悼んで詠った「鳥江亭に題す」――
勝敗兵家事不期 勝敗は兵家 事期せず
包羞忍恥是男児 羞を包み恥を忍ぶは是れ男児
江東子弟多才俊 江東の子弟 才俊多し
捲土重来未可知 捲土重来 未だ知る可からず
切れ味: 良
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