金田秀治 『超トヨタ式チェンジリーダー』
- 金田 秀治
- 超トヨタ式チェンジリーダー
陳腐なタイトルであるが、中身は、なかなか読み応えがある。
トヨタ方式は、現場部門における改善活動の徹底化によって、自動車業界のみならず、他の産業にも大きな影響を与え続けているが、本書で、著者が提案しているのは、それを内包しつつ、さらに加えて、「部門戦略」の発想であり、その「仕組み」の導入だ。
欧米型のトップダウンによる経営戦略方式でもなく、トヨタを代表とする日本企業に見られる、現場からのボトムアップ型でもない、第三の戦略ゾーンが、開発・生産・販売などの各部門による「部門戦略」の構築だという。そして、それを担う中心的な存在が、チェンジリーダーともいうべき中間管理職層になる。
で、このような貧相なタイトルになってしまったのだろう。
著者は、経営コンサルタントであるが、元々はトヨタグループの生産管理部門を渡り歩いた人であるだけに、その豊富な体験に基づいた語りには、なかなかの説得力がある。
また、単なる現場力の強化に止まることなく、それを更に部門の強化へと結び付け、その結果として、企業体質が断然強くなるという論調も面白い。
ただ、これは言うは易く、行うは堅しで、日々の業務を運営するシステムができ上がってしまっている企業に対して、それを変革させていくのは、実際問題として、かなりの難易度をともなうだろうし、成功例も少ないだのではないだろうか。
組織の構成員にしてみれば、変革運動は、総論では賛成でも、いざ、わが身に降りかかってくるとなれば、保守的にならざるをえないのだから。
切れ味: 可
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